SSカーズとは、どんなメーカー?
メーカーのSSカーズとは、もともと1922年創業のスワロー・サイドカー・カンパニーというサイドカーを作るメーカーであった。サイドカーとは、オートバイの脇に付けられたシート付きの車で、オートバイと一体になって三輪車として走るように設計された乗り物のことである。
そのサイドカーメーカが、次第にコーチビルダーとしての仕事も請け負うようになり、自動車メーカーへと発展して行く。なお、コーチビルダーとは、一般の自動車メーカーで開発、製造された車に独自のデザインのボディを設計、デザインし、架装するメーカーのことである。
サイドカーメーカーだったスワローがコーチビルダーとして最初に製造、販売を行った車は、イギリスの老舗自動車メーカーオースチンのオースチン7であった。エコノミータイプの大衆車として人気のあったオースチン7に、独自のボディを架装しツーシーターのスポーツカーとして売り出したのである。

スワローのサイドカー
スワロー・サイドカー・カンパニーが最初に作ったサイドカーと思われる。写真に写る二人は創業者のウィリアム・ウォームズレイ(左)とウィリアム・ライオンズ(右)。
【[2], Public domain, via Wikimedia Commons】
スワロー・サイドカー・カンパニーが最初に作ったサイドカーと思われる。写真に写る二人は創業者のウィリアム・ウォームズレイ(左)とウィリアム・ライオンズ(右)。
【[2], Public domain, via Wikimedia Commons】

スワロー・オースチン7
スワローがオースチン7をベースにコーチビルディングした車である。クリームとブルーのツートンカラーが小粋なスポーツカーに仕上がっている。イギリスのコヴェントリー交通博物館所蔵。
【Tristan Surtel, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons】
スワローがオースチン7をベースにコーチビルディングした車である。クリームとブルーのツートンカラーが小粋なスポーツカーに仕上がっている。イギリスのコヴェントリー交通博物館所蔵。
【Tristan Surtel, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons】
このオースチン7 スワローは、低価格ながら高級車のようなイメージを持つ車で人気となり、これ以降、スワローは、様々なメーカーの車をベースとし、コーチビルダーとして個性的な車を次々と製造、販売するようになるのである。
1932年、スワローは初の自社製自動車を開発する。エンジンやシャーシは中堅の自動車メーカーであったスタンダード社から供給を受けたものの、他メーカーの車のコーチビルディングではなく、自分たちの車を作り上げたのである。
そして、その車にSSという名前を付け、1934年にはメーカー名もSSカーズとした。SSとは、スワローの「S」とスワローにエンジンやシャーシを供給したスタンダード社の「S」を繋げたものらしい。

SSカーズの広告
オランダのアムステルダムにあった販売店の1930年代の広告である。「速く、優雅で、静か」とSSカーズの車を宣伝している。上部の流れるようなSSの文字が速さを強調していて面白い。
【Conam.info, Public domain, via Wikimedia Commons】
オランダのアムステルダムにあった販売店の1930年代の広告である。「速く、優雅で、静か」とSSカーズの車を宣伝している。上部の流れるようなSSの文字が速さを強調していて面白い。
【Conam.info, Public domain, via Wikimedia Commons】
