ゴリアテ GD750

ドイツの三輪トラックと日本のオート三輪。

日本のオート三輪も、身近な車としてさまざまな業種で活用されていたが、次第に大型化し、大手の配送業者でも使われるようになっていった。荷台の長さ4mで排気量2000ccという中型トラック並みの三輪も登場している。だが、ドイツではそういうことにはならなかったようだ。

日本のオート三輪は、四輪トラックが高価だったため、その代わりに活躍した車とも言える。もちろんドイツのゴリアテGD750も、三輪ゆえの価格の安さが大きなメリットにはなっていただろう。だが、日本のように配送専門業者のトラックとして使われるのではなく、もっぱら三輪の小回りの良さとか手軽さが活かせる商売で重宝されたようだ。つまり、役割がはっきりしていたのである。

50年代の街を走るゴリアテGD750の白黒写真
街角のゴリアテGD750
50年代にオランダで撮影された写真。荷台の上に屋根のついたゴリアテである。街の雰囲気にしっくりと溶け込んでいる。商店の荷物を運んでいるのだろうか。もしかしたら移動販売車かもしれない。
Wouter Duijndam from Area 070, The Netherlands, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons】

さて、このように活躍したゴリアテだが、モータリゼーションが進展してゆくと、次第に敬遠されてゆく。走行が不安定な三輪トラックだったためである。GD750の後にゴリアテゴリという名の三輪トラックも出されるが1960年代の初めには製造を終え、街から姿を消してゆく。

このあたりの終わり方は日本のオート三輪と同じである。やはり三輪車なのである。ゴリアテのように強いとはいっても時代の流れには勝てなかったのだ。

ゴリアテの走行動画
GD750の後継車であるゴリアテゴリの走行動画である。荷物を積み込み、街の狭い道や森の中の道を走り抜け、目的地にまで荷物を届けるという一連の流れを丁寧に撮影している。走る様子や車内の状況などがよくわかる。