流線型から普通のスタイルへ。
そして1940年には、改良版のフィアット1500Cが登場するが、フロントのデザインが大きく変わる。昔の車のデザインが採用され、フロントグリルは高く、直立することになる。なめらかな流線型ではなくなってしまうのである。思い切りスピードを出せるわけではないのだから、昔のままでいいということになったのだろうか。
結局、フィアット1500は、戦争終結後の1950年まで生産され続けた。その間1500D、Eと新たなモデルが投入され、内部のメカニズムやボディ形状には改良がさらに加えられた。しかし、フロントのデザインは1500C以降変えられることはなかった。
風洞実験まで行って生み出した空気抵抗を減らしたスタイルも、時代の流れには抵抗できなかったのである。

フロントが直立したフィアット1500
1940年のフィアット1500C以降は、フロントが直立し、ヘッドランプもフェンダーから独立した。このデザインは、それ以降変えられることがなかった。
【Deutsche Fotothek, CC BY-SA 3.0 DE, via Wikimedia Commons】
1940年のフィアット1500C以降は、フロントが直立し、ヘッドランプもフェンダーから独立した。このデザインは、それ以降変えられることがなかった。
【Deutsche Fotothek, CC BY-SA 3.0 DE, via Wikimedia Commons】
