パナール ディナX

戦後初の小型車、ディナX。

高級車が売り物だった老舗のパナールも、ここで一般向けの小型車をデビューさせる。それが、パナールディナXである。パナールとしては何としてでも戦後の業界での地位を固めたかったのだろう。名前に「X」という文字を入れることからして決意のほどがわかる。

X(エックス)には「未知のもの」という意味がある。これまでになかった、見たこともない自動車だという意気込みである。初めて見る人にとっては、確かにこの車のデザインは「X」だろう。かなり個性的だ。

Xはこの車のデザインだけではない。ボディの素材はアルミ製で軽量。車内スペースも他の小型車より広いというのが売りだった。また、エンジンは空冷式水平対向エンジンを搭載した。振動が少なく、重心を低くできるため安定した走りを楽しめた。

このエンジンのおかげで、車の前部に大きなラジエターグリルを配置する必要がなく、個性的なデザインともなったのである。合理的な設計と個性的なデザインで一般向けの小型車を投入する、これがパナールの戦略であった。

パナールディナX紹介動画
車の外観やエンジンなどを紹介している。
パナールディナX運転動画
ディナXの運転を車内から撮影した動画。田舎道を走っているのが面白い。

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なぜ、こんな個性的な車が・・・?