ドライエ 148L

タイヤメーカーの宣伝車として。

このツール・ド・フランスの宣伝キャラバンは現在でも行われており、さまざまな企業の宣伝カーがたくさん参加している。どれも派手な飾り付けやカラーでチンドン屋振りを発揮している。

なお、お祭りやイベントで協賛企業が宣伝カーを走らせるというのは、ツール・ド・フランスだけではなく、世界の各地で行われている。日本でも、宣伝カーのパレードがあるお祭りやイベントが多く、このKleber-Colombesのドライエが走った1950年代にも開催されていた。

ツール・ド・フランスのキャラバンに参加したタイヤの宣伝カー
2014年のキャラバン
2014年のツール・ド・フランスのキャラバンに参加したKleberタイヤの宣伝カーである。ベンツのマイクロカーであるスマートの上に大きなタイヤを被せた大胆な、というかそのものズバリのデザインだ。
Chabe01, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons】
浜松まつりでの宣伝カー
日本のイベントでのキャラバン
昭和30年(1955年)5月に静岡県浜松で行われた浜松まつりの時の写真。「縞馬のマークで六十年」と書かれている車の上にはシマウマのハリボテが乗っている。これはボールペンで有名なゼブラの宣伝カーである。

さて、イベントで走らせる宣伝カーといえば、多くがトラックやバンなどの商用車がベースとなっている。たくさんの派手な飾りつけを施すのであるからその方が作りやすく、改造もしやすいというのがあるだろう。

ところが、ここで取り上げているドライエ 148Lはトラックでもバンでもない。乗用車である。しかも、大型の高級車だ。普通は資産に余裕のあるお金持ちが乗る車なのである。それを、惜しげもなく改造し、派手な色を塗って走らせたのである。

Kleber-Colombesとしては、高級車を宣伝カーにして走らせるというところに意義を見出したのだろうか。しかも、この車を2台も作ったそうである。

モーターショーに展示されたドライエ135
1946年パリ・モーターショーのドライエ車
戦後すぐの1946年に行われたパリ・モーターショーに展示されたドライエ135クーペ。コーチビルダー(車体製造業者)のデュボス社のブースに展示されていたものだ。当時のドライエ車は、コーチビルダーによってデザインされるタイプの車であり、戦後すぐの庶民が気安く手が出せるものではなかったのである。
Ctellal, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons】

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高級車であるがゆえの宣伝効果とは。