シトロエン 23RU

昔から団体旅行で重宝した観光バス。

このベンチ付き馬車、最初は競馬や狩猟などの移動式の観覧席として使われたようだが、後に学校や職場の旅行、遠足などに使われるようになり、人気を得たようだ。現代の観光バスのように団体旅行に大いに利用されたのである。

こうした観光馬車の延長線上にあるのが、オープン型観光バスなのである。移動手段が馬車から自動車に代わると、大型自動車の荷台に座席を並べて団体旅行に使おうというのは、やはり自然の流れなのだろう。

オープン型観光バスが山道を走る写真
オープン型観光バス
アメリカワシントン州のレーニア山国立公園内を走る観光バス。3台並んで走っている。現代の観光バスと同じで、団体旅行に使われているのだ。1923年の撮影。
University of Washington, Public domain, via Wikimedia Commons】
観光バスによるツアーの広告
バスツアーの広告
アメリカのDeLapeツアーズが主催する観光バスツアーの広告である。「1914年観光シーズンの幕開けは“シアトル観光”。豪華な20人乗り車両で。」と書かれている。
University of Washington, Public domain, via Wikimedia Commons】

このようにシトロエン23RUバスは、昔の観光馬車の伝統をしっかりと引き継いでいるバスなのだ。オープン型で開放感があり、名所旧跡やいい景色の中をゆっくりと走れば今でも評判を呼ぶに違いない。

インバウンド需要が大いに高まっている今、日本の観光地でもこんな観光バスを走らせてみたらどうだろう。アメリカやヨーロッパの人々は昔からこのタイプのバスに乗って観光を楽しんできたのだから。

シトロエン23バスの走行動画
オープン型ではないが、1947年製のシトロエン23バスの走る様子を収録した動画である。80年ほど昔の車であるが揺れも少なく乗り心地がよさそうだ。2011年にフランスのミュルーズで行われた自動車のフェスティバルで撮られたものである。