アイスクリーム配送のためのK8。
最初のページに掲載したオースチン K8の写真には、側面にWall’s ICE CREAMと表示されている。Wall’sとは、今もイギリスに存在するアイスクリームブランドだ。この車は、アイスクリームの配送車なのである。
冷凍車は1920年代にすでにアメリカで登場しており、最初の冷凍車もアイスクリームの運搬に使われたそうである。このオースチン K8も、きっと工場からお店にまでアイスクリームを配送するために使われた冷凍車なのだろう。
アイスクリームなど食品配送のためには、衛生上の問題を考えるとやはりバンが最適である。そこで、このオースチン K8だ。キャブオーバー型のバンでたくさん積み込むことができ、しかも小回りが利くため、狭い路地の奥にあるお店にも素早く配送できる。
その上、3つのドアで配送員の作業時間も短縮できる。特にこの点がアイスクリーム配送にはベストである。いくら車が冷凍車でも、積み込みや積み下ろしに時間をかけていたのではせっかくのアイスクリームも台無しなのだから。

オースチンK8の側面に書かれたWall’s アイスクリームのロゴタイプ。スローガンは「MORE THAN A TREAT A FOOD(おやつ以上の食べ物)」。

1953年6月にイギリスのマンチェスターで撮られたスナップ。アイスクリームの看板を掲げた小さな食料品店が写っている。オースチンK8は、こんな街角のお店にもアイスクリームを配送したのだろう。
【Walls Ice Cream by saudekjan, on Flickr】
メーカーの事情によって生産終了に。
オースチン K8はユーザーに受け入れられ、ヨーロッパ各国やアメリカにも輸出され人気車となるが、販売開始から7年後の1954年には生産が終了してしまう。
実は1952年に、メーカーのオースチンが同じイギリスの自動車メーカーのモーリスと合併し、BMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)となる。その際、BMCは、商用車の生産をモーリスが行うことと決定するのだ。
こんな理由で、もっと長く売ってもよかったオースチン K8は、生産終了となる。メーカーのお家事情なのだからしょうがないのだが・・・。業界初の量産型キャブオーバーバンであるだけに、もっと生産が続けば歴史的な車となったかもしれない。
美しくレストアされた1951年製のオースチン K8を、さまざまな角度から撮影した動画。荷室の中の様子や、運転席の近くにあるエンジンなどが興味深い。
