スタイルも、機構も、新しく。
さて、この新たなフォードのスタイルに注目してみよう。現代の車に慣れた目で見ると全体的に丸くズングリした印象を受けるが、これが当時としてはとてもスマートであった。
戦前までの自動車といえばいわゆるクラシックカースタイルが多かった。箱型の車体に長いボンネットが付き、ヘッドライトがボンネットとは離れているというスタイルだ。1930年代に流線型が流行すると、ボンネットとライトが一体になり、車体全体もなだらかなカーブを描くというスマートな形に変わっていったが、まだ全体的に車高が高かった。
そこに、この1949年型フォードの登場である。それまでの車と比べると車高が低く、ボンネットとライトの高さが一緒になったよりスッキリしたスタイルで登場した。これをフラッシュサイドスタイルとかポンツーン型と言うが、人々はこのスマートな形に、新時代の車という印象を持ったのである。
しかも、この車、フロント周りがまた個性的であった。太めのクロームバンパーが輝き、フロントグリルの中央には弾丸型の飾りが付いている。60年代の派手なアメリカ車の片鱗を見せてくれるデザインでもあった。また、車体側面のモールも車のスマートさを演出している。

1949年型フォードのスタイル
ボンネットとライトを一体化したポンツーン型のスタイルである。当時としてはとても新しさを感じさせた。フロントグリル中央の弾丸や太めのクロームバンパーもこの車の個性を際立たせている。
ボンネットとライトを一体化したポンツーン型のスタイルである。当時としてはとても新しさを感じさせた。フロントグリル中央の弾丸や太めのクロームバンパーもこの車の個性を際立たせている。
エンジンに関しては、直列6気筒エンジンが標準で、強力なV8エンジンを搭載するグレードも用意されており、走りに関してはそれまでのフォード車同様の仕様である。
しかし、この車からはコイルスプリングによるサスペンションを使用し、さらに1950年には、オプションとしてオートマチック、つまりギアチェンジ操作の不要なAT車も提供される。パワーだけでなく、乗り心地や運転のしやすさも考慮した車となっているのである。
