ルノー NN

ユーザーに愛されたルノーNN。

ルノーNNは、結局15万台ほど販売されたようだ。当時の車としては結構ヒットしたのではないだろうか。車を使う側であるユーザーから見ると、NNは、基本的に故障が少なく、メンテナンスがしやすく、経済的な車であった。大衆車としては十分だったのである。しかも、他の車には見られないフロントデザインが、なんとも魅力的に見えたのかもしれない。

NNの生産は1930年に終了するが、1950年代前半まで中古市場でこの車をよく見かけたそうである。20年以上前の中古車であっても購入したいという人がいたのである。それほど人気があったのだ。丈夫だったということもあろうが、このデザインが大好きという人もきっと多かったのだろう。

自動車に関して言うと、最新で、最もよいものをというファンだけでなく、古くても、多少不便でもこの形がいいんだ、というファンがいるということなのである。

ルノー NN紹介動画
2022年に開催されたクラシックカーイベントで撮影された動画である。美しくレストアされたトーピードスタイルのルノーNNを見ることができる。

このように人々に愛される車と言えば、戦後になるとたくさん登場する。フォルクスワーゲンのビートルやイギリスのミニがそうだし、シトロエンの2CVもそうだ。そして、そんな人気車は、たいてい個性的なデザインを持ち、それが車のアイデンティティになってもいる。

ルノーNNは、そんな愛された大衆車のハシリとも言えるのではないだろうか。

ルノーNN走行動画
1925年製のNNの走る姿を捉えた動画。登場するオーナーは、かなり年季の入ったNNのエンジンをかけ、乗り込み、畑の中の道を運転する。100年前の車だがまだまだ現役なのである。