フォードA型

現役引退後も活躍したフォードA。

さて、1930年代後半から1960年代のはじめにかけて、フォードの車は、普通の自家用車とは別な形で人々に愛されるようになる。それはホットロッド車としての活躍である。

ホットロッドとは、車の改造とレースを楽しむアメリカのライフスタイルと言えるが、そんなアメリカならではのホビーに、フォードA型やT型が大いに用いられたのだ。

全米ホットロッド協会が設立されたのは1951年。50年代から60年代にかけてはホットロッドの最盛期でもあるが、その時代にホットロッドを楽しんでいた若者たちにとっては、フォードA型は20〜30年前の車だ。彼らは、自分の親の世代が乗っていた中古のフォードA 型を手に入れ、エンジンを載せ替え、ペイントし、パーツを取り付けて街へと繰り出したのである。

ホットロッドの玩具
ホットロッドのブリキ玩具
1960年代のものである。当時ホットロッドは全盛期であり、子供のおもちゃにも影響を与えていた。なお、このブリキの玩具はmade in Japanで、アメリカ向けに作られたものである。
lord enfield, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons】
フォードA型のホットロッド
1930年型のA型を改造したホットロッドの動画である。心地よいエンジン音をあげて走ってゆくA型が映されている。youtubeにはこうした動画が多くあげられている。

フォードT型は20世紀に最も影響力のあった自動車だったが、フォードA型はまさにアメリカの親と子の世代で愛用された車となったのだ。心機一転の気持ちで作ったA型がこれほど愛されたということは、フォードにとってまさに自動車屋冥利に尽きるということではないだろうか。