ブガッティ タイプ41

激動の時代に翻弄された車だった。

工場の中庭に並べられたブガッティ車
1928年のブガッティの車
1928年にフランスのモルスハイムにあったブガッティの工場の中庭で撮られた。ブガッティが製造していた車が並べられている。奥のひときわ大きい車がタイプ41である。
Arnaud 25, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons】

この車が製造された頃、1920年代後半から30年代前半は、激動の時代であった。経済恐慌で世の中は不況の波に翻弄され、恐慌が落ち着いたかと思えばファシズムが台頭し、世の中はきな臭くなってきていた。

そして1939年、第二次世界大戦が勃発。ヨーロッパは混乱の渦に巻き込まれ、人々の生活は一変してしまう。

1945年、世界大戦は終わるが、もう昔のような世の中は戻ってこなかった。人々の価値観や考え方が戦前とは大きく変わってしまったのである。王族もしかりで、民に慕われる良い家柄の王族といったものは物語の中の存在でしかなくなってしまったのである。

したがって、ブガッティタイプ41ロワイヤルも王族の愛用車ではなく、コレクターが秘蔵する車、また、博物館で庶民が鑑賞する車となった。

しかし、エットーレ・ブガッティにしてみれば、それはどちらでもよいのかもしれない。彼の求めたのはとにかく美しく、誇れる高級車であり、あのイギリス人女性のようにロールスロイスと比べようとする人間が出てこなければいいのである。

タイプ41の修復と走行動画
今も修復と調整がされているタイプ41を取り上げた動画である。走る姿も登場する。