雷光という名の車の実力は。
ブリッツェン ベンツには、排気量21500cc、200馬力の強力エンジンが積まれた。また、車幅は可能な限り狭くされ、前部ラジエターの上には尖った形の水タンクが付けられ、車体後部の形状も尖っている。空気抵抗を極力減らしたスタイルに設計されたのである。

ブリッツェン ベンツのスタイル
幅は狭く、前後は尖った形状。できるだけ空気抵抗を減らそうとこの形になった。
幅は狭く、前後は尖った形状。できるだけ空気抵抗を減らそうとこの形になった。

エンジン
ブリッツェン ベンツのために作られた21.5リッター200馬力の直列4気筒エンジン。
【The original uploader was Cete at German Wikipedia., CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons】
ブリッツェン ベンツのために作られた21.5リッター200馬力の直列4気筒エンジン。
【The original uploader was Cete at German Wikipedia., CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons】
ブリッツェンとはドイツ語で雷光を意味する。稲妻が空を駆け巡るような速さという意味を込めたのだろう。その名が示す通り、この車はすぐに実力を発揮し、あっさりと時速200キロの壁を打ち破ってしまう。製造された年1909年の11月にイギリスのサーキットであるブルックランズにおいて時速202.6キロを叩き出すのである。
そして、翌々年の4月にはアメリカのデイトナビーチで時速228.1キロを記録した。これは、当時の自動車はもちろん鉄道の記録を超えていた。また、飛行機の2倍以上の速さでもあった。プロペラで飛ぶ当時の飛行機はまだまだ速度は出なかったのである。
これによりブリッツェン ベンツは地球で最も速い乗り物となった。なお、この記録は1919年まで破られることはなかった。

デイトナビーチでのブリッツェンベンツ
1911年4月23日、デイトナビーチを走るブリッツェンベンツ。運転するのはアメリカ人ボブ・バーマンである。時速228.1キロを記録した時の写真と思われる。
【Library of Congress, Public domain, via Wikimedia Commons】
1911年4月23日、デイトナビーチを走るブリッツェンベンツ。運転するのはアメリカ人ボブ・バーマンである。時速228.1キロを記録した時の写真と思われる。
【Library of Congress, Public domain, via Wikimedia Commons】