ビアンキ 20-30CV

20世紀初頭、車はお金持ちの贅沢品だった。

車が庶民のものとなり、自分の車を自分で運転するようになるのは、大量生産で低価格を実現したフォードT型からである。それまでは自動車は、お金のある人が馬車の代わりに持つものであった。

しかも、贅沢品である。もちろん、購入したお金持ちがレジャーとして自分で運転することもあっただろうが、基本的には主人が使用人に運転させ、リムジンとして使用したのである。

こうした車の使い方は、もちろん今でも存在する。社長や重役がリムジンで出勤する、つまりお抱えの運転手が運転する車で出勤してくるという会社は普通にある。数世紀前の馬車に始まり、今から120年前の自動車でも採用されていた使い方が相変わらず受け継がれているのである。

自動車の姿や形が大きく変わっても変わらない使い方が健在であり、これからも続くだろうということを考えると面白い。企業の社長がリムジンで出勤するのを見たら、この車の姿を思い出すといい。

1890年代〜2020年代の交通の変遷(動画)
1890年代の街は馬車ばかりで自動車の姿は全く無い。しかし、1900年代になるといきなり自動車が現れ、次第に馬車の姿は無くなってゆく。やはり20世紀は自動車の時代なのである。