フランスの若者の手作り自動車から。
ベデリアの製造は1913年の5年前、1908年から始まっている。いったい誰が製造を思い立ったのだろうか。実は、この車の元となったのはロベール・ブルボーとアンリ・デヴォーという二人のフランスの若者の手作り自動車であった。
彼らはパリの工学学校の学生であったが、1907年に交通事故に遭いオートバイを壊してしまった。修理することができなかったので、自分たちの持っているもので自動車を作ることにした。
そこで、壊れたバイクの2気筒V型エンジンを搭載し、2つの座席を縦に並べたこの奇妙な車が生まれたのだ。ベデリアに搭載されているエンジンは、もともとバイク用なのである。エンジンが丸見えというのもこれで納得である。

イベントに登場したベデリア
2019年のレトロモビルショー(クラシックカーのイベント)に登場した1913年製のベデリア。こちらは、ライトが2つ目である。
【Kev22, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons】
2019年のレトロモビルショー(クラシックカーのイベント)に登場した1913年製のベデリア。こちらは、ライトが2つ目である。
【Kev22, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons】

ベデリアのエンジン
1911年製のベデリアのエンジン部分。もともとはバイクで使うV型エンジンである。フランスリヨン近郊のアンリ・マラルトル自動車博物館所蔵。
【HReuter, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons】
1911年製のベデリアのエンジン部分。もともとはバイクで使うV型エンジンである。フランスリヨン近郊のアンリ・マラルトル自動車博物館所蔵。
【HReuter, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons】
エンジンを前に搭載し、座席を縦に並べるというレイアウトは、当時の飛行機からヒントを得たようだ。この頃の飛行機はまだ生まれたばかりで、エンジンを前に載せてプロペラを回し、その後ろの座席で人が操縦するという形だった。この車のレイアウトはまさに翼のない飛行機なのである。