モスクヴィッチ 400

Moskvitch 400
モスクヴィッチ 400
モスクヴィッチ 400 1949年

戦争の時代が生んだ“モスクワっ子”。

1940年代によく見られたスタイルの小型乗用車だ。この車は、ソビエト連邦の車で名前はモスクヴィッチ。作られたのは1947年であるから、第二次世界大戦が終わって混乱も収まりつつあった時代である。上の写真は1949年に作られたガブリオレ、つまりコンバーチブルタイプである。

横から見たモスクヴィッチ400
モスクヴィッチ400のスタイル
1940年代らしいスタイルの乗用車である。
斜め後ろから見たモスクヴィッチ400
コンバーチブル
1947年登場のモスクヴィッチ400には、写真のコンバーチブルが2年後にラインアップされた。

モスクヴィッチを作ったAZLK。

モスクヴィッチには“モスクワっ子”という意味がある。ソ連のユーザーを意識した名前で、“我らが車”といったイメージを持たせたかったのだろうか。製造したのは、ソ連の自動車メーカーAZLKである。AZLKの創業は1930年で、最初はアメリカのフォードA型やフォードAA型トラックのライセンス生産を行っていた。

フォードA型とは、一般庶民が自動車を持つきっかけとなったと言われているフォードT型の後継として作られた車だ。このA型もやはり庶民が購入し、安心して運転できる小型車としてヒットした。A型やAA型トラックは世界中でライセンス生産されたが、ソ連ではAZLKを始めとするメーカーが製造していたのである。

GAZ-AAトラック工場での製造
GAZ-AAトラックの製造
上の写真はAZLKと同時期に自動車製造を開始したGAZの工場の様子である。フォードAA型トラックをコピーしたGAZ-AAを組み立てている。撮影は1943年。
unlisted, Public domain, via Wikimedia Commons】

なお、AZLKはこの後、1930年代の終わりには自社で設計した小型車の生産も始めている。フォード車のライセンス生産からスタートはしたが、戦前から一貫して小型ファミリーカーの開発、製造を手掛けてきたメーカーでもあるのだ。

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ある車にそっくりなモスクヴィッチ。